『月刊コミック@バンチ 2011年3月号』(前半)

先週、1月21日に発売されたばかりの、新月刊漫画誌の創刊号。
以下、その感想(前半)です。


(残りの23行、ネタバレあり)

大佐:「見ろ」
大佐:「戦場は もはや俺達の立ち入れる場所じゃない」
大佐:「狂気が支配する聖域なんだ」

「誰も見たことの無い“女子高生×ロボ”SF」。
月刊コミック@バンチ』公式サイトなどでイメージイラストを見て、女子高生が戦うお話?とか思っていたら、スケールが違ってました。文字通りの意味で。
とりあえず、主人公は軍隊にいて、制御不能になった脱走兵を始末する部隊に所属しているんですが。
その主人公たちと脱走兵が、ともにそれぞれ、巨大ロボットに乗っていて。その巨大ロボットが……、女子高生なんです。
えーっと、何を言ってるのか分からないと思いますが(笑)、自分としては、ありのまま、見たままを話しているわけで。
この辺は、公式サイトで読める、31ページの読み切り短編『女子攻兵 プロトタイプ版』を見てもらえば、話は早いと思いますが――、ただ。
そちらの「プロトタイプ版」よりも、実際に本誌に載っている連載版の方が、ずっと不穏で、緊迫度が上がっていて、サイコスリラー的な色彩が強まっています。
と言うのも、連載版では、この巨大ロボット「女子攻兵」が、搭乗するパイロットの精神を徐々に汚染していく、恐ろしい代物になっているからです。
そして精神汚染が進むと、現実と妄想の境界が失われていき、ついにはパイロットの自我が崩壊、「女子攻兵」は完全に制御不能に陥ります。

タキガワ:精神汚染の進んだヨシダ中尉にあの呼びかけは無意味だ
タキガワ:今 奴のケータイが受信しているのはもっと先にある何かだ

あと、そういう見たままの事柄にさらに付け加えて、メタファー的な形で、別の意味がその背後に込められているような気がします。
公式サイトの作者コメントに、「本格的なSFアクションのつもりではありますが、何分僕は科学的根拠に基づいた設定だとか詳細のような物に全く興味がないので多分違う何かになると思います。」とあるんですが。
これは別に、細かいことはいいんだよ!的な意味ではなく(笑)、むしろその逆で、そんな多重構造を意識したコメントなんじゃないかな、と。
例えば、この漫画の中で繰り広げられている光景は、実はいったい何なのか、というような。
こういった側面は、『女子攻兵 プロトタイプ版』の方が、より分かりやすく、前面に出ている感じがします。
ただし、あくまでも「プロトタイプ版」なので、実際の連載版と必ずしも同じテーマを掲げているとは限りませんが。
部隊の仲間たちが次第に汚染の影響を見せていくなか、主人公、そして部隊を襲う、戦慄と、最悪の事態とは――。
いずれにしても、続きが気になる、と言うか、早く続きを見せてほしいです。こういう宙ぶらりんのもやもやした状態が、一番ドキドキするので!(涙目)