『キャプテンハーロック』

APPLESEED アップルシード』『エクスマキナ』などで知られる、荒牧伸志(あらまき・しんじ)監督の最新作。第70回ヴェネチア国際映画祭・特別招待作品。
(原作総設定:松本零士、監督:荒牧伸志、脚色:福井晴敏、脚本:福井晴敏・竹内清人、コンセプト・キャラクター・デザイン:箕輪豊、アニメーション制作:東映アニメーション。)
以下、今月、9月7日より公開中の映画『キャプテンハーロック』の感想です。


(残りの16行、ネタバレあり)

ヤマ:「その先には、本当に俺たちの未来があるのか?」
ハーロック:「俺に求めるな」

ハーロック:「答えは、おまえ自身が探せ。それこそが、真の『自由』だ」

上記は、映画の脚本も担当されている、竹内清人先生自身によるノベライズ本からの引用です。
遙かな未来……あるいは遠い過去、銀河の果てにまで進出しながら、いつしかその勢力を失い始めていた人類が、滅びゆく運命にその身を委ねている時代。
そんな運命に抗い、政府に反旗を翻す、不滅の宇宙海賊の姿を、彼の暗殺のため海賊船へと潜入する、秘密工作員を主人公にして、描いたお話。
亡国のイージス』『機動戦士ガンダムUC』などで知られる、福井晴敏先生も参加した、全く新たな『宇宙海賊キャプテンハーロック』の物語です。
まず映像に関して言うと、今、フォトリアル系のCGアニメは、ここまでのことが出来るのか!と驚くほど、フルCGアニメでありがちな違和感がないのにビックリしました。
生身の役者さんの動作だけではなく、その表情までも取り込んだキャラクターは、特に古田新太さんが声をされてる「ヤッタラン」とか、ほぼ実写と区別がつかないレベル。
『アバター』のジェームズ・キャメロン監督絶賛というのも納得の出来映えで、CGムービーに少しでも興味のある方は、絶対に観ておいて損はないクオリティだと思います。
さてストーリーに関しては、ハーロックを暗殺するはずだった主人公は、「自分を縛るものと戦え」と言うハーロックの生き方に、次第にひかれていきますが。
太陽系を舞台にした、壮大な規模の艦隊戦の末、彼の本当の意図を知り、また、突然の悲しい知らせを受け、自暴自棄になって、不可侵領域である地球へ突入していきます。
果たしてそこで、主人公が見たものは? 自らの心の中で、彼がそうして気づいたことは――。
松本零士先生の描く“永遠の命とは?”というテーマを、前回の『AKIRA』同様、“中心の禁域”という日本的かつ今日的なモチーフで、再誕(リブート)させた映像作品。
作中で「キャプテンハーロック」という象徴が生き続けていくように、こうして『キャプテンハーロック』という物語が受け継がれていくんだな、と。
30年の時を超え、伝説の宇宙海賊が遂に蘇る! “世界を変えたければ、この艦に乗れ。” 艦これ。――映画『キャプテンハーロック』、この機会にいかがでしょうか。