『マン・オブ・スティール』

ウォッチメン』『300〈スリーハンドレッド〉』などで知られる、ザック・スナイダー監督の最新作。
先週、8月30日公開の映画・『マン・オブ・スティール』の感想です。


(残りの14行、ネタバレあり)
遠い宇宙の、崩壊寸前の惑星から送り出された赤ん坊が、たどり着いた先の地球で、心優しい夫婦に育てられ、スーパーヒーローとしてその能力を発揮していくお話。
「マン・オブ・スティール」(“鋼の男”)というタイトルだけでは「?」ですが、主人公の姿を見てもらえば分かるように、要するに新たな『スーパーマン』の物語です。
さて、まずなんと言っても、そのスーパーマンのアクションがすごかったです。普通の人間をはるかに超える彼のパワーとスピードが、十二分に映像化されてます。
そして、その能力のため、周囲から孤立し、孤独を深める主人公と、そうした彼を見守り、励ます両親のドラマも良く出来ていて、すっかり感情移入させられました。
そんな育ての親が、自身の出自と能力をめぐって悩む主人公に対し、「お前には使命があるはずだ」「たとえ一生かかっても」「その使命を突き止めろ」と諭すのですが。
その直接的な意味はともかくとして、人生における「使命」、すなわち“自分は何を為すべきか?”というのは、なかなかの難問です。
例えば、電車でお年寄りに席を譲るのは、たしかに“善”かも知れません。
でも、席を譲らないのには「何か事情があるのかも知れないっすよー」と、(『ガッチャマン クラウズ』風に)言われたら、一体どうすべきなのか?(笑)
“正義”というのは、そのように、『ハーバード白熱教室』で議論されるような、難しい問いかけでもあります。
主人公は、放浪の末に、自らのルーツを探り当て、「いつか地球人と理解し合えたとき、共に奇跡を起こすのだ」という、生みの親のメッセージを受け取るのですが。
そんな彼と人類の前に、宇宙から、予想もしなかった危機が訪れます。そのとき、果たして地球の運命は――。
というわけで、現実のスーパーパワーと同じく、いくつもの可能な選択肢を前にして、苦悩しながら決断をしていくスーパーマンの姿が印象的な、シリーズ第1作でした。
劇場プログラムの記述によると、本作の主人公たちが登場する、新たな映画の公開もすでに発表されていて、しかもそれは、バットマンとの共演作になるとのこと。
すべてのヒーローの原点とも言えるスーパーマンと、ダークヒーロー・バットマン。対照的な2人のスーパーヒーローの活躍が今から楽しみです。