『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』

映画『ベルセルク』黄金時代篇、その三部作の最終章、先週、2月1日より全国ロードショーの作品、さっそく見てきました。
原作:三浦健太郎、監督:窪岡俊之、脚本:大河内一楼、キャラクターデザイン・総作画監督:恩田尚之、アニメーションディレクター:岩瀧智、アニメーション制作:STUDIO4℃
ちなみに、2作目・『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』に関しては、シリーズの途中ということもあり、特に感想は書いてませんが、もちろん劇場で見ています。


(残りの13行、ネタバレあり)

グリフィス:「何千、何万という敵味方の中で」「唯一おまえだけが俺に夢を忘れさせた……。」

上記は劇場パンフレットからの引用ですが、劇中でもたしか、同様の主旨のことは言ってたように思います(言ってましたよね?)。
中世ヨーロッパを下敷きにした剣と魔法の世界を舞台に、戦乱の中で生きる男たちの夢と絆と、そして彼らを襲う恐るべき宿命を描いた作品。
今回は、いよいよと言うか、とうとうと言うか、黄金時代篇三部作のクライマックスとなる、〈蝕〉がついに描かれるわけですが。
ここは、以前のTVシリーズ(『剣風伝奇ベルセルク』)で、拷問の末に変わり果てたグリフィスの姿とともに、昔の自分にトラウマ級の衝撃を与えたところなので(笑)。
そういう心構えで見に行ったんですが、実際すごかったです。圧倒的な密度で、迫ってくるような禍々しさが。
〈蝕〉直前の、嵐の前のような静けさや、暗黒の〈蝕〉の間にグリフィスが見る、蜃気楼のような幼い頃の幻影も、〈蝕〉とのコントラストで非常に印象的でした。
その幻影の中(や、第1部の暗殺のエピソードなど)で示されるように、それまでの胸躍るサクセスストーリーの裏には実は、おびただしい数の死体が積まれているわけで。
黄金時代篇三部作だけを取り出してみれば、グリフィスの夢と、それにすがる鷹の団団員たちの夢が、その報いを受けるかのようにして迎える、バッドエンドに思えますが。
グリフィスが転生する最中に、「人間はどうして……」みたいなことをたしか、つぶやいてましたけど。
他者の犠牲の上に成り立つ“夢”ではないものを、ガッツがこの先、見せてくれるなら、それは、グリフィスにとっても、この作品にとっても、救い/希望になるのかなと。
目を背けたくなるようなハードなシーンもありますが、それらも含めて、劇場版アニメとして、黄金時代篇を描ききった感じの三部作。
ともかくとりあえず、映画『ベルセルク』黄金時代篇はこれにて完結ということで、スタッフならびにキャストの皆さん、どうもお疲れ様でした。