『ねらわれた学園』

過去に何度も映像化されてきたSFジュブナイルの傑作を、時代を現代に置き換えて、新解釈でアニメ映画化した作品。
原作:眉村卓、監督:中村亮介、脚本:内藤裕子中村亮介、キャラクターデザイン/総作画監督:細居美恵子、制作:サンライズ
先週、11月10日より全国ロードショーの本作、さっそく見てきましたので感想です。


(残りの14行、ネタバレあり)
全体的に群像劇っぽいところもありますが、とりあえず便宜上、幼なじみで同級生の二人のうち、男の子の方を主人公、女の子の方をヒロインとして。
(ちなみにそのヒロインの声はAKB48渡辺麻友さんですが、話題づくりのためのキャスティングといった演技レベルでは全くありませんので、ご安心ください。)
あらすじとしては、主人公たちが通う中学校に、新年度早々、謎めいた転校生がやって来て、そして学園で不思議な事件が起こり始める……、といったお話。
ともかくまず、映像がすごく綺麗でした。常に画面のどこかが文字通りキラキラと輝いていて、最後までレンズフレアが出っぱなし、みたいな(笑)。
キャラクターデザインもピュアでリリカルな感じだし、開放感のある学校や、海の見える公園や、草花のみずみずしい通学路など、背景も絵画のような美しさ。
鉄道模型、と言うか、おもちゃの列車が走り回る主人公の部屋も楽しげでしたが、中学二年生にしてはあれはちょっと子供っぽいかな?(笑)
で、ストーリー的には、序盤からいろいろな出来事が起こるんですけど、それよりも、主人公とヒロインのイチャイチャっぷりに身悶えさせられっぱなしで。
まあ、イチャイチャと言っても、ヒロインの好意に超鈍感な主人公が、ツンデレな彼女に殺人的とも言えるような激しいツッコミを入れられるってことなんですが(笑)。
そうこうするうちに、例の転校生がある目的のために行動を開始して、主人公たちもそれに巻き込まれていくことになります。
ただ、そうして展開されていく物語の、エンドロールの後のシーンは、無かった方が(ヒロイン視点で)SF的なつじつまは合うんじゃないかなーと思ったり。
つまり、劇中でもさらっと言ってましたけど、主人公は実は子供の頃……、という理由で。
でも、もしその通りだったとしても、何らかの形でヒロインがそれに気づくシーンは欲しいよねと考えると、まさにあの最後の場面がそうだと受け取れなくもないのかなと。
“季節が過ぎて、僕らはキセキの意味を知る――” 伝えたい、でも伝わらない……。純粋に人を想う心、伝えたいと願う気持ちが、奇跡をもたらす物語。
終盤の畳み掛けるような展開に理解が追いつかない部分もありましたし、映像も本当に綺麗なので、ブルーレイか何かでもう一度、じっくり見直したい感じの作品でした。