『インセプション』

歴代興行収入第2位を記録した大ヒット作・『ダークナイト』などで知られる、クリストファー・ノーランさんの監督・脚本作品。
レオナルド・ディカプリオさんと渡辺謙さんの豪華競演でも話題を呼んだ本作ですが、自分は気になってはいたものの、結局、映画館では見れなくて。
先週末、6月10日に、テレビ朝日系『日曜洋画劇場』で放送されたものを見てみました。
ちなみに(来週、6月17日は放送休止で、)再来週、6月24日の『日曜洋画劇場』では、その『ダークナイト』の地上波初放送も予定されています。
さらにその『ダークナイト』の続編・『ダークナイト ライジング』は、来月末、7月28日公開予定です。
それでは話を戻して、以下、『インセプション』の感想です。


(残りの22行、ネタバレあり)

コブ:「アイデアはウイルスみたいだ」
コブ:「しぶとくて、感染力が強い」
コブ:「小さな種が次第に大きくなっていき、人に道を示すか、破壊するかだ」

特殊な機材を用いて他人の夢に入り込み、隠された情報を盗み出すプロフェッショナルである主人公が、自らの過去を清算するため、最後のミッションに挑むお話。
特殊な機材を用いて、と言っても、ターゲットとなる人物の秘密を盗み出すためには、さらに下準備が必要で。
夢の世界を構築する設計士、夢の世界で他人に化ける偽造師、夢の世界を安定させる薬の調合師など、主人公はさまざまな専門家をメンバーとして集めていくのですが。
まず、この専門家たちが個性的で、そして、そのプロとしての仕事ぶりがすごくかっこよかったです。まあ、その仕事内容は、合法ではないんですけど(笑)。
そんなチームの面々が、想定外のピンチでバラバラになりかけながらも、ターゲットの人物も含め、運命共同体的に協力して困難を乗り越えていくのも、盛り上がりました。
また、現実世界でも、夢の世界でも、追われる身である主人公たちの、体を張った逃走劇、カーチェイスも、手に汗握りますし。
いったいどうやって撮影したの?と思うような、“無重力”アクションも見物です。
ストーリー展開としては、主人公たちは今回は、アイデアを盗み出すのではなく、アイデアを植え付けるという、難易度の高いミッションに挑むのですが。
主人公の潜在意識が生み出した、実際にはもう死んだはずの主人公の妻に、大事なところで邪魔をされてしまいます。
この作品を最後まで見て思うのは、主人公と今回の依頼主の立場が、どうも重なっているらしいということ。「信じて飛び込む」とか、「約束を果たせと言うのか」とか。
そしてまた、主人公と自殺したその妻の立場も、重なったり、入れ替わったりしているようです。

「あなたは列車を待っている。遠くに連れて行ってくれる列車を」

「この世界は現実じゃない」

「この世界から逃れるには、死ぬしかない」

ギリギリの攻防の末、ついに夢の最下層・虚無の世界にまで落ちてしまった主人公たちは、後悔を抱えたまま、孤独に死を待ちながら老いぼれていくのか、それとも――。
ラストはちょっと意外な幕切れでしたが、これはやはり、「信じて飛べばいいんだ」みたいなことなんでしょうか?
けっこう複雑な構成で、いろんな見方ができる作品な気がしますが、自分としては、上記のような流れでとらえるのが、一番しっくり来る感じです。
ハリウッド大作ならではのリッチな映像表現と、なかなかに考えさせられる内容の、よく出来たエンターテインメント作品でした。
映画『インセプション』は、現在、ブルーレイ&DVDが発売中のほか、iTunes Storeニコニコ動画などでも視聴可能です。