『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』

剣風伝奇ベルセルク』としてすでに一度TVアニメ化もされている、全世界累計発行部数3000万部突破の大ヒットコミックがついに映画化。
原作漫画の世界観すべてを映像化するという《ベルセルク・サーガプロジェクト》の第1弾として、先週末、2月4日より全国ロードショーの本作、さっそく見てきました。
原作・三浦健太郎先生、監督・窪岡俊之さん、脚本・大河内一楼さん、キャラクターデザイン・総作画監督・恩田尚之さん、アニメーション制作・STUDIO4℃


(残りの19行、ネタバレあり)

グリフィス:「生まれてしまったから、仕方なくただ生きる。そんな生き方、俺には耐えられない。」

上記は劇場パンフレットからの引用ですが。実際には劇中では、(王女と話をしている場面なので、)「俺」ではなくて「私」って言ってたような?
中世ヨーロッパを下敷きにした剣と魔法の世界を舞台に、戦乱の中で生きる男たちの夢と絆と、そして彼らを襲う恐るべき宿命を描いた作品。
今回の映画化では、原作漫画の「黄金時代篇」を、全3部作に分けて映像化。この第1部『覇王の卵』に引き続き、第2部、第3部の公開も、2012年内に予定されています。
さて、この「黄金時代篇」というのは、ファンの間でも特に人気が高いエピソードなのだそうで、以前のTVシリーズでもすでに描かれているのですが。
放送当時、最初、どう考えても自分の好みじゃなさそうだなーと思って、全然期待してなかったんですけど。物は試しにと見てみたら、すごくハマってしまって(笑)。
そんなわけで今回の映画も、前売り券をすでに買ってて、もちろん見に行くつもりだったんですが。公開前日に放送された『MAG・ネット』を見て、ちょっとビックリ。
ちょうどその『ベルセルク』の特集があったんですが、映画制作に、かなり3DCGが使われてて。STUDIO4℃だから、すごい手描きアニメだと思ってたのに!みたいな(笑)。
もう少しちゃんと言うと、地面や建物や小道具だけでなくキャラクターも、基本的に3DCGで(ポリゴンで)形を作ってあって、それを動かして映像を制作してるみたいで。
ただし、繊細で生き生きとした表現が必要な、人間の表情や細かい仕草などは、その3DCG映像の上に手描きの2D作画をかぶせる、ハイブリッドな手法を用いているようです。
なので多少違和感はあるものの、実際に映画を見てみると、3DCGと2D作画はかなり馴染んでいましたし。
大胆で正確な、臨場感のあるカメラワークや、群集シーンや、甲冑へのこだわりなど、たしかにCGでなければ無理だろうという映像も多かったです。
そんなCGとの相性も考えてなのか、キャラクターデザインは、原作漫画や以前のTVシリーズと比べて、若干つるんとしていて、あっさりめな感じもしましたが。
その辺は、同じく3DCGを多用した人気ゲーム・『アイドルマスター』風と言えるかも。窪岡俊之さんつながりという意味でも(笑)。
ストーリーに関しては、上記のように、TVシリーズとほぼ同じ、「黄金時代篇」を扱っていますが。上映時間は限られてますので、結構エピソードを削っているようで。
その分、主人公のガッツとグリフィスという、二人の登場人物の関係が、より分かりやすくなってる感じ。「真の友」って、こういう文脈の上での台詞だったのか、とか。
脚本の大河内一楼さんは、TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』などでも知られていますが。この『ベルセルク』も、対照的な二人の男の絆の物語なんだな、と。
その大河内さんが、劇場パンフレットの中で、「原作ファンの方は、ヘンに原作をいじっていないので安心して下さい(笑)。」とコメントされてますが。
ストーリーを知ってても、全然問題なく、骨太な物語を楽しめました。6月公開の第2部・『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』も、もちろん見に行くつもりです。