『ドットハック セカイの向こうに』

お正月明けにBS11で放送していた特番をたまたま見て、何これすごい、しかも3D!と思って、さっそく劇場で見てきました。
先週、1月21日に全国ロードショーの、劇場用3DCGアニメーション。
監督・松山洋さん、脚本・伊藤和典さん、キャラクター原案・貞本義行さん、キャラクターデザイン・細川誠一郎さん、拓さん、ほか、アニメーション制作・サイバーコネクトツー sai、アニマ。


(残りの19行、ネタバレあり)

田中翔:「僕たちは、思ってる以上につながってるのかもしれない」

今より少しだけ先の未来。福岡県柳川市で暮らす、女子中学生が主人公。
『THE WORLD』というオンラインゲームが世界的に大流行しているなか、家の教育方針もあって、意固地なくらいにそのゲームを避け続けてきた主人公は。
とあるきっかけからそのゲームをプレイしていくうちに、ゲーム内の世界で謎の少女と出会い、あるモノを託される……、といったお話。
まずやはり、期待通り、映像がよく出来てました。
ゲーム内の・仮想世界の、いかにも最新のゲームっぽいコントラストのはっきりしたCGは、3D的にもかなり見栄えがしましたし。
現実世界の・日常パートの、淡いイラストタッチのCGも、手描きアニメ風の日常ドラマをちゃんと表現できてたように思います。
劇場パンフによれば、現実世界側の、主人公などのキャラクターデザインは、岡山県倉敷市を舞台に思春期の少年少女たちを描いた漫画『めくりめくる』の作者さんらしく。
言われてみればそんな感じの、シンプルでいて繊細さも兼ね備えた、魅力的なデザインだな、と。もっとも、本作の主な舞台は福岡県で、岡山県ではないですが(笑)。
その舞台に関して言えば、情緒ある町並と堀割で知られている福岡県柳川市(と、福岡市の天神地区)を、かなり綿密にロケハンして、画面内に再現しているようで。
公式サイトで公開されているロケ地マップを見ても分かりますが、実在の店舗に実名まで出てくるなど、リアルに対するこだわりも相当なものになっています。
そんな舞台で、キャラクターたちが繰り広げるストーリーについては、実は自分は、本作もその一つである『.hack』シリーズは、これまであまり見てなくて。
ちゃんと話が分かるか、ちょっと心配してたんですが、公式サイトのプロダクションノートにもあるように、過去のシリーズを知らなくても、問題なく楽しめました。
冒頭で引用した台詞のような、“人と人とのつながり”みたいなテーマは、もちろんしっかりあると思いますが。
それで何か、メッセージを前面に押し出すタイプの作品ではなく、まさに、少女の成長と恋と冒険を描いた、青春SFストーリー、といった感じの作品だったように思います。
謎の少女の心を開かせる、みたいな展開は、主人公がゲームを通じて、改めて周囲の人たちと絆を結び直す過程を、象徴しているようでもあったり。
現実世界のキャラクターとゲーム内のキャラクターとの対応関係が、一筋縄ではいかなかったり。
そんな、『.hack』シリーズのフォーマットをうまく活かした、作劇上の工夫・見所もありましたし。
今、CGで・3Dで、ここまでのことが出来るのか、的な意味でも、映画館で見られて良かったです。