『天使から百年 2』

『マルタ・サギーは探偵ですか?』『ちょー』シリーズなどで知られる、野梨原花南(のりはら・かなん)先生の作品。2010年9月発行。
来週、12月2日、講談社がついにライトノベルに本格参入、ということで、新レーベル・講談社ラノベ文庫が創刊されますが。
講談社でライトノベルと言うと、講談社BOXや講談社ノベルスなどがすでにありますが、講談社ラノベ文庫はもっと直球の、主流のライトノベルを扱うみたいで。
先月、10月25日に、メディアミックスコミック誌『スーパーダッシュ&ゴー!』(隔月刊)を新創刊させた集英社スーパーダッシュ文庫同様、マンガとの連携も特徴らしく。
講談社ラノベ文庫・創刊タイトルの一つとして、藤島康介先生の同名人気コミックを原作とする、野梨原先生の『パラダイスレジデンス 1』もラインアップされています。
そんなわけで(?)このタイミングで、『天使から百年』シリーズの、第2巻の感想を。(ちなみに第1巻の感想は、第2巻刊行時にすでに書いています。)


(残りの16行、ネタバレあり)

テオーデリヒ:「必死なら、行動してる。ほんとに望むなら、行動してる。やる気なんかなくても、必死なら、もう始めてる。今してないなら、必死じゃねえんだ。世界一高い山の登り方を知ってるか?」

カイ:「ええと、まず、道を調べて……」
テオーデリヒ:「右足と左足を交互に出すんだよ。最初はそれで、最後もそれだ」

異形の敵・「ロドーリー」の脅威にさらされる世界で、主人公の少女が、別の世界(=現代日本)から召還した、「魔人」とともに戦うお話。
前巻で、不測の事態が起こり、現代日本へと飛ばされた主人公たちは、元の世界に帰るため、手がかりを求め行動しますが。
その過程で、各登場人物の過去や秘密、想いや目的を知っていくことになります。
それぞれ、「振動」「暴走」「操作」の力を持つ、魔人と主人のコンビも3組、出揃って。
ロドーリーたちが探しているという、ロドーリーの意識を個人個人で分断させる「星」の、意外な所在も明らかに。
ここにいたくない。ここではないどこかにいきたい。ずっとそう思っていた少女は、揺さぶられ、解放され、ようやく探していた真実に気がついて――。

どう説明したらいいのかなと考えたが、なるようになるか、と考えを放棄した。
とにかく、ここは自分の世界だ。
戦いが待っていたとしても、自分の世界なのだ。
歩き出す。

“ラスボス”の存在も明かされて、ますます盛り上がるストーリー。積み残しの伏線も、次の最終巻できっときれいに回収されるはず――、なのですが。
この第2巻が出てから1年以上たった今も、第3巻は出ていません。
なにか“大人の事情”があるのかも、ですけど、なんとか続き、出してほしいです……。