『六花の勇者』

タイトルにある「六花」は、カバー裏表紙の内容紹介では、「ろっか」と振り仮名してあります。
「六花」(「ろっか」あるいは「りっか」)と言うと、辞書的には、雪の異称、ということになりますが。それとの関連は、今のところ不明です。
『戦う司書』で知られる山形石雄先生の、先週、8月25日に発売されたばかりの最新作・『六花の勇者』、さっそく感想です。


(残りの12行、ネタバレあり)

ハンス:「ちなみに、一つ教えておくだよ。こういう入ることも出ることもできない状況を、おらたちは密室と呼ぶだよ」

伝説通りに目覚めた「魔神」を封印するため、選び出された6人の勇者たちは、手はず通り封印の地に集合するが、敵の策略にはまり、霧の結界に閉じ込められてしまう。
その上、現れた勇者は、なぜか全部で、7人で……、この中に1人、敵がいる!
と言うわけで、新シリーズの第1作は、超常的な力が存在するファンタジー世界を舞台にした、閉鎖空間内での密室ミステリー。
互いに疑心暗鬼に陥るなか、敵対行為の嫌疑をかけられた主人公は、圧倒的な窮地から、自らの命と世界の命運をかけて、結界を作動させた神殿の、密室の謎に挑みます。
信じていた者たちに裏切られた、トラウマめいた経験をともに抱える主人公とヒロインは、果たして真相にたどり着けるのか――。

アドレット:「違うぜフレミー。心は捨てられない。心を捨てようと思うのも、やっぱり心なんだ」

アドレット:「強くなるために全てを捨てる。そんなことはできっこない。誰かを好きになることだけは、どうしてもやめられない」

最後は、あっと驚く戦慄のエピローグで、次巻へ続く。まさにこの第1巻は、「前哨戦」に過ぎなかった……。
しかし一体、「魔神」とは何なのか。超常的な力を操る「聖者」が、全員女性であるのはなぜなのか。(何人かの)聖者の力が、魔神と関係ありそうなのはどうしてか。
「心があるなら心は伝わる。そのはずだと信じる。」という主人公を、この先、待ち受ける運命は――。
本当の戦いは、今ようやく始まったところ。今回のシリーズも相当スケールの大きなお話のようで、次巻もすごく楽しみです。