『コクリコ坂から』

先々週、7月16日ロードショーのスタジオジブリ作品、さっそく見てきました。
企画・脚本は宮崎駿さん、原作は高橋千鶴先生・佐山哲郎先生、もう一人の脚本として丹羽圭子さん、そして『ゲド戦記』以来5年ぶり、2作目の監督は宮崎吾朗さんです。


(残りの17行、ネタバレあり)

風間俊:「少数者の意見を聞こうとしない君たちに 民主主義を語る資格はない!!」

舞台は1963年、翌年に東京オリンピックを控えた、横浜。
港の見える丘にある自宅兼下宿屋・「コクリコ荘」を切り盛りする女子高生ヒロインは、毎朝、庭で、「安全な航行を祈る」を意味する信号旗をあげ続けていますが。
ある日、学校で、その旗に応えてくれている人がいることを知らされて……。
偶然のきっかけから、徐々に距離を縮めていく2人の関係に、文化部部室の建物・通称「カルチェラタン」の取り壊しをめぐるエピソードをからめて。
この「カルチェラタン」の内部の、“魔窟”っぷりがすごく楽しい。でも、火事とかあったら、すごく燃えやすそう(笑)。
そんな危なっかしい猥雑さを信じられるか。あるいは、きちんと運営していけるのか――。
一方、恋に障害はつきもの、というわけで、2人にも試練が訪れます。
ほんとにこれ、どうなっちゃうの?/どう終わらせるつもりなの?と、見ていてハラハラしてしまいましたが。
最後まで見終えてみれば、別にあの告白で、あのまま終わっても良かったかも、なんて(笑)。お話として。自分の好みとしては。
と言うか、自分的には、あの告白がクライマックス。あのシーンのための映画だったなー、と。
でもその後、あまりに都合良く、事が運びすぎるので。
実はお母さんたちが、2人のことを思いやって、一芝居打っただけなのではと、勘繰りたくもなってきます(笑)。
そして、そういう解釈も可能な気がして、――そんなメッセージが込められているようにも思えるのです。
コクリコ坂から』公式サイトでは、悪役を引き受けて(?)、企画の宮崎駿さんもいろいろと書いておられますが。
この映画は、原作漫画とだいぶ違う内容になってるみたいですけど、自分は原作未読ということもあってか、素直に楽しめました。
未曾有の大震災に見舞われた今、こういう時期に、ヒロインのひたむきさには大いに心動かされましたし、幸せなストーリーに心癒されました。面白かったです。