『フォービリオンナイツ』

『ジャバウォッキー』の久正人先生の、待望の新作(読切)。『ジャンプSQ. 2009年12月号』掲載。
ページをめくるのにこんなにドキドキしたのも久しぶりで、先生の作品がまた読めてほんとにうれしいです。
作画的には、『ジャバウォッキー』と比べて割合おとなしめにしてある感じでしたが、構図やコマ割りの切れ味は相変わらすでかっこよかったです。
ストーリーに関しては、以下のネタバレ部分で。


(残りの20行、ネタバレあり)

佐々木:「ん? 「力を与えられた」…? じゃあその力を与えたのは誰なんだ?」

実際に連載になるかどうかは読者の反響次第なんでしょうけれど、一応、この読切は、連載に向けてのお試し版、パイロット版的な位置付けの作品だとして。
ジャンプSQ.公式サイトの先行公開カットに「妖怪オタクの子供」が出てきて、今度は伝奇物?とか思ってたんですが。『ジャバウォッキー』と同じく、一種のSFみたい?
前作『ジャバウォッキー』では、歴史の裏側で暗躍する恐竜が物語の鍵になっていましたけど、今作では、進化史の裏側でうごめく古生物がキーになる感じでしょうか。
読み終わってから気づいたんですが、今回、主人公達はバトルはしてるんですけれど、“敵”と呼べるような存在はどうも最後まで見当たらない感じでした。
もちろん倒すべき相手は出てくるんですが、それは駆除すべきもの、「切り取られる」ものとしてであって、むしろヒロインと同じく、“疎外されたもの”でもあるわけで。
少なくとも人間並の知能と意志を持った、敵対勢力という意味での“敵”は、ついに登場しなかったような。
これにはたぶん、いくつか可能性があると思うんですが。
まず1つ目は、本当に“敵”がいないケース。この場合は、“モンスターハンター”と言うか、「妖怪」退治が物語の柱になって、『ゲゲゲの鬼太郎』パターン?
それから2つ目、こちらの方が可能性高いと思うんですけど、今回はページ数に限りのあるパイロット版なので、“敵”がいない(ように見えた)というケース。
そうであれば、なぜ「存在していい筈がない」ものが「現在まで生き残ってしまった」かの説明にもつながるでしょうし。事件を裏で操っているのは……、みたいな。
あと思ったのは、今作も主役コンビ(?)は“異種間”プラトニックラブになるのかな、ということ。前作の人間と恐竜カップルに対して、今作は大人と子供で。
もっと言えば、今回さらっとにおわせてたように思ったんですが、主役コンビの片方は、本当に文字通り“異種(の末裔?)”である可能性も。
以上は多分に『ジャバウォッキー』ファンの、もし『ジャバウォッキー』と同工異曲的な作品を目指すなら、という視点が入っちゃってますが(笑)。
今回、園長くんの素性がまだまだ謎のままだったので、さらにひとひねりありそうで。あるいはもちろん、設定によっては全然違う作品になる可能性もあります。
それにしても、どんな“秘密道具”が出てくるのかと思えば、剪定バサミと言うか、高枝切りバサミで(笑)。いえもちろん、すごいギミックとかありますけど。
それでポーズまで決めて、さらにその上「象徴」とか何とかって(笑)。
こういう、本人達はあくまで真剣なんだけど、見様によってはギャグとか。ありえない方向にイメージや連想や伏線がつながっていくのとか。すごく好きです。
今作は、一応、現代日本が物語の舞台のようで、派手なハッタリとかウソとか繰り出しにくいと思うんですが。そういうのにどう対処していくのかも興味あります。
というわけで、早く連載始まって欲しい!です。