『CENCOROLL - センコロール』

ほぼ個人制作ながら、ネットなどで公開されていたトレーラーの素晴らしい出来映えに、早くから注目を集めていた作品。早速見てきました。
混雑しているということで心配してたんですが、平日ということもあって、問題なく見られました。とは言えやはり、かなりお客さんは入ってました。
あと、一時品切れ状態だったという劇場パンフレットも無事購入できました。


(残りの13行、ネタバレあり)
ネットの感想を読んでてなるほど、言い得て妙だなと思ったのが、“テレビアニメのシリーズ第1話”といった感じの映画評です。
8月のコミケで販売されていた『センコロール スタートブック』を見て驚いたんですが、この映画、30分しかないんです。(劇場パンフの一部記述によれば、実質27分?)
でも、その短い中に、ストーリーやキャラクターの関係性をコンパクトに詰め込んで。
主人公が飼っている奇妙な生物はいったい何(のメタファー)なのかといった謎にも、いろいろと深読みできるくらいの手がかりはちゃんと盛り込まれていると思います。
だけどやっぱり、素直に言えば、もっと見せて!と。
と言うかそもそも、公式の劇場パンフで「ぶっちゃけたところ、続編はあるんですよね?」なんて、監督ツッコまれてますしね(笑)。
で、冒頭の映画評の話に戻るんですが、テレビアニメって、そのシリーズの全エピソードの中で、第1話が一番面白い場合が多いように思うんです。
その作品ならではのアイデアとか売りの部分とかをたいていバシッと提示してくれるし、作画も第1話は特に力を入れてることが多いですし。
でもお話が進んでくると、こういうファンタジー系の作品は特に、設定のほころびが表面化しやすくて。また、思春期の少年少女はとかく、“鬱展開”に突入しやすくて。
結果、こんなはずでは……、といった感想を、いくらかは抱くことが多い気がします。もちろん、こちらの勝手な期待をはるかに上回ってくれる作品もありますけども。
そういう意味で、この『センコロール』は、テレビアニメ第1話のクオリティとワクワク感をそのまま、ほぼ個人制作で形にした、希有な映画だと言えるのかも知れません。
監督のテーマにまつわる作家性とか、キュートかつ透明感のある絵柄とか、ダイナミックで気持ちのいいアクションシーンだとか。
そういうみずみずしい、型にはまらない魅力を持った作品だったと思うし、自分はすごく好きです。