『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』

ついに我が家でも再生環境が整って、今年2月にリリースされたブルーレイをようやく視聴しました。
去年見に行った映画の中で、個人的にはベスト1の作品です。


(残りの13行、ネタバレあり)

函南優一:「“ティーチャー”を撃墜すれば、何かが変わる?」

キルドレ」と呼ばれる、永遠に生きることを宿命づけられた子供たちが、「ショーとしての戦争」を戦う物語。
今回改めてブルーレイで見てまず驚いたのは、音響が非常に静かだったことです。
中盤過ぎの大規模な空中戦など、派手めにBGMがかかるシーンもあるにはあるんですが、全体として見ると音楽の使用はかなり控えめな印象。
効果音も、戦闘機まわりの爆音との対比もあって、日常の淡々としたシーンでの静けさ、何気ない物音まで丁寧に拾っている感じが際立っています。
おまけに登場人物たちも、まるで独り言でもつぶやいているかのように、ポツポツとしゃべる場面が多いです。
映画館で見たときは、こういう映画もあるよなと思って見たからなのか、そんな感じはしなかったんですが、家でこうしてアニメとして見ると、ほんとに静かな作品です。
そしてそうした静かなシーンで、各キャラクターがこれまた落ち着いた、非常に繊細な演技を見せてくれます。
加えて徐々に明らかになってくる、“繰り返し”の構造。
そういうのをひっくるめて、まさに“深く考えさせられる”といったタイプ(そして実際、いろいろと連想が広がりました)の、映画らしい映画だったなと思いました。
あと、この作品では、普段の会話はもちろん日本語音声なんですが、戦闘機搭乗中の交信は英語音声・日本語字幕という構成になっています。
そして、最後の空中戦では、おそらくもちろん意図的に、英語音声と日本語字幕(劇場公開時字幕)が違った内容になっています。
そうした箇所は他にもあったかもしれませんが、そういうところもちょっと面白いなと思いました。