『荒野』

去年出た、桜庭一樹先生の直木賞受賞第一作を、積ん読状態からようやく救出。
この本にはちょっと変わった経緯があって、全三部作予定でファミ通文庫から『荒野の恋 第一部』『荒野の恋 第二部』と出たあと、しばらく中断。
それら2作を加筆修正し、書き下ろしの第三部を加えて、文藝春秋から1冊の単行本として出版されたのが、本作『荒野』です。
桜庭先生が直木賞候補に挙がってたころは、もう『第三部』は望み薄かと思っていただけに、こうした形でも続きが読めるようになったのはうれしかったです。


(残りの3行、ネタバレあり)
内容的には、この作品は、幼く危なっかしいようでいて意外と「手強い」ヒロインの、中学入学から高校1年・16歳の誕生日までを描いた物語です。
その舞台の一つ、ヒロインの家として、鎌倉の古いお屋敷が設定してあって、それが非常に活かされてるなと思いました。
感情描写が細やかで、とてもいい作品でした。