『ヒャッコ 7』

テレビアニメ化もされた、カトウハルアキ先生の『ヒャッコ』、ほぼ2年ぶりとなる待望のシリーズ最新巻。先週、1月12日発売。


(残りの22行、ネタバレあり)

戦国獅子丸:「…俺は」「自分がつまらない人間だってわかってる…」

戦国獅子丸:「頭は堅いし」「心も狭い」

戦国獅子丸:「体ばかり鍛えてたって」「友達を笑顔にさせるようなおしゃべりも」「できないし」

戦国獅子丸:「…そういう自分が嫌いなわけじゃない…」「でも好きなわけでもないんだ」

戦国獅子丸:「…………だから」

戦国獅子丸:「だからあの日」「窓から空へ向かって飛んだ君の姿が…」

戦国獅子丸:「……なんていうのかな」

戦国獅子丸:「嬉しかった」

上記は、物語の中心となる女の子4人組のうちのひとり・上下山虎子のことが大好きな先輩が、(たぶん)彼女を好きになったそのきっかけを打ち明けるシーンの台詞。
それを受けた虎子が、ちょっと困ったような顔で、「それ何の話?」って返すのも、ほんとに気づいてないのか、あるいはさらっと流したのか、なんかすごく青春って感じ!
ストーリーの方は、前巻からの続きで、いよいよ学園の文化祭、その当日のお話。収録された3話とも、同じ一日を、さまざまな登場人物の視点から描いています。
いろいろなカップルの距離が縮まったり縮まらなかったり(笑)、不思議な双子の因縁が語られたり、チビッコたちが駆け回ったり追い回されたり(笑)。
意外な形でそれぞれの物語が交錯しつつ、楽しい学園祭の一日は過ぎていきますが……。
カバー折り返しの作者コメント(?)に、「オシマイ。」とあるように、シリーズとしてはどうやらこの第7巻で、残念ながら一区切りのようです。
今回あらためて、シリーズ計7巻を読み返してみて思ったのは、自分は誰か特定のキャラが好きだったと言うよりも、この作品全体が好きだったんだなー、ということ。
登場人物はそれぞれに個性的で、けっこうバラバラな方向を向いてるんだけど、みんなが自由に生き生きとしてる、そういうところが「嬉しかった」んだな、と。
この作品の中でさえも、みんながいつもそうだというわけではないのですが、とりあえずの区切りらしきこの巻だけに、そういう台詞がなおさら胸に響きました。
さて冒頭で、作者を「カトウハルアキ」先生と表記しましたが。現在、先生は主に(かつてカトウハルアキだった)「真田ジューイチ」名義で活動されているようで。
完全無料・登録不要のWEBコミック誌・「COMIC メテオ」にて、新作シリーズ・『危ノーマル系女子』を連載中。
この『ヒャッコ』第7巻とともに、その『危ノーマル系女子』第1巻、さらには藤原里先生、TOBI先生、平尾アウリ先生ほかの描く『ヒャッコアンソロジー』も発売中です。
また、『危ノーマル系女子』第1巻の発売を記念して、来週末、1月26日に、東京・渋谷でサイン会も開催されます。詳しくは「COMIC メテオ」公式サイトでどうぞ。
ともかく先生、6年あまりに及ぶ『ヒャッコ』連載、本当にお疲れ様でした!