『青の祓魔師 劇場版』

累計発行部数1000万部突破の人気コミックを原作として、去年、2011年にTVシリーズが放送され話題を呼んだアニメーション作品が、スケールアップして待望の映画化。
原作:加藤和恵、監督:高橋敦史、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン・総作画監督:佐々木啓悟、美術監督:木村真二、制作:A-1 Pictures
おととい、12月28日公開の本作、さっそく見てきましたので、感想です。
(ちなみに劇場版公開記念として、動画配信サイト・GyaO!では、TVシリーズを一挙無料配信中。MBS・TBS系列では、第11.5話「クロの家出」の初放送もやってます。)


(残りの12行、ネタバレあり)
時系列的にはどうやらTVシリーズのしばらく後、ある悪魔退治の任務中、少年の姿の悪魔を見つけた主人公が、成り行きでその子の面倒を見ることになって……というお話。
序盤は、原作第6巻に収録の特別番外編・「幽靈列車」とほぼ同じ筋書きですが、映画はそれでは終わらずに、そこから話を膨らませて、さらにオリジナル展開が続きます。
特に、異界とこの世を行き来する「人喰い列車」に、知らずに乗り込んだ人間が、自分がすでに死んでしまっていることに気づいていないという設定は、なかなかに暗示的。
さて一方、主人公たち祓魔師の拠点・正十字学園町は、11年に一度の祝祭を迎え、徐々に幻想的な雰囲気を帯びていきますが。
少年の悪魔を監視するはずが、すぐに仲良しになった主人公の周りでは、なにやら奇妙な出来事が起き始め、やがてそれは、町全体を飲み込む危機へと発展していきます。
悪魔が実在する世界にしても、かなりの“大技”が繰り出され、物語が終幕へと向かうなか、果たして主人公と少年悪魔の運命は――。
“俺だけは、ずっと忘れない。” 幼い頃、よく読み聞かせてもらった絵本を軸とした、大切な記憶をめぐる物語。
終盤、またしても寝落ちしていた主人公は、その駆けつけた先で、意外な人物から意外な発言を聞くのですが。
それも、絵本から、言わば飛び出してきたのは、小さな悪魔だけではなくて……と考えると、作劇的にはきれいにつじつまが合うのかも。
美術監督・木村真二さんによる、緻密で存在感のある素晴らしい背景美術や、やたらと美味しそうな、とろとろのオムライス(笑)など、映像的にも見所たっぷり。
入場者特典の、加藤和恵先生描き下ろし、一足早い年賀カードももらえましたし、久しぶりにまた動く『青の祓魔師』が見られてほんとに良かったです。
それでは皆様、良いお年を。