『NOVA 3』

SFを中心に書き下ろしの新作短編を集めたオリジナル・アンソロジー・シリーズ、《NOVA》の第3巻。去年、2010年12月発行。
つい先日、5月10日には、シリーズ最新刊、『NOVA 4』も発売になっています。
『NOVA 4』の執筆陣は、「幻のデビュー作」を発表する京極夏彦先生をはじめ、山田正紀先生、林譲治先生など。
森田季節先生の「脱力系考古学SF」って、作風的にちょっと想像つかないんですが(笑)。どんなのなんでしょうか。
さてそれでは、『NOVA 3』の感想です。


(残りの19行、ネタバレあり)

《NOVA》初登場の漫画。SFの定義をめぐってのあれこれを、グレッグ・イーガン先生の『万物理論』のパロディで。
高尚な宇宙論が台無しです(笑)。

一風変わった、通信・対話劇。
ひたすら報告を待つ・遠隔サポートするのも、なんだか切ないですね。

『クリュセの魚』(『NOVA 2』収録)の続編。25世紀になってもコミケは続いてます(笑)。ボーカロイドも。
《NOVA》で連載化決定みたいですが、次号は休載なんですね……。

  • 谷甲州先生・『メデューサ複合体』

硬派の宇宙土木SF。想定外の事態に立ち向かう、現場主任の調査行にすごく引き込まれたんですが、最後にあれ?っと。
これで終わり? なんかまだまだ、続きありそうなんですが……。

――極めつけの悪はこの世に横行しているが、至高なる善は二度と現れることはない。人はただ運命の振り子によって、最後には神の裁きを成就することを信ずるだけだ。

CERN陰謀論!(笑)
……冗談はさておき、大森望先生による作品解説に「“『虐殺器官』以後”の日本SFを引き受けようとする瀬名秀明の決意表明かもしれない。」とありますが。
たしかに、瀬名先生の『デカルトの密室』を、伊藤計劃先生の『虐殺器官』のハードなリアリティと方向性へと、延長していったような感じの作品でした。
と言うか、伊藤先生の『虐殺器官』って、「運命の振り子を揺り戻すための」「希望」の物語だったのかなと、今更ながらに思ったり。


そのほかの作品も面白かったです。