『ネコソギラジカル』

いよいよ来週28日から、アニメ『化物語』未放送エピソードの配信開始ですが、その原作者である西尾維新先生のデビュー作、「戯言シリーズ」(文庫版)をようやく読了。
そうでなくとも一冊一冊ボリュームのある本シリーズなんですが、今作『ネコソギラジカル』は、一冊ごとのボリュームはそのままに、上・中・下巻の3部作構成。
自分的にちょっと一気読みできる分量ではなくて、他の作品と並行して読み進めていたせいもあり、前作『ヒトクイマジカル』の後、ずいぶん時間がかかってしまいました。
以下、今作の感想と、それからシリーズ通しての感想を少し。


(残りの13行、ネタバレあり)

玖渚友:「だったら一緒に、死んでくれる?」

まず最終作ということで、伏線回収の面白さがありました。
あーなるほど、実はそういうことだったのね、とか。へー、裏ではそんなことがあったのか、とか。
あと印象的だったのは、石凪萌太闇口崩子の兄妹。
崩子ちゃんもたいがい反則なんですが(←褒め言葉です)、萌太くんはひどい! あのスローモーションは卑怯すぎる(←褒め言葉です)。
で、ストーリーの方はスピーディーに、かつ意外な展開を見せつつ、終幕へと向かっていきます。
さて、前作『ヒトクイマジカル』から登場した「狐」さんがしきりに、「俺は既に、因果から追放を受けた身だからな」というようなことを言うのですが。
またこの人は突拍子もないことをいきなり言い出すキャラで、それがいったい何を指すのか、最初は訳が分からなかったんですけれど。
つまりは、「物語の終わり」を追い求めた結果、10年前の失敗で途方に暮れた。自らの方向性(あるいは関係性)を破壊して/されてしまった、ということなのかなと。
「狐」さんに限らず、各キャラがそれぞれの経緯で、そうした地点から改めてまた歩き出す。そこまで踏み込んだ、喪失と再生の物語だったのかなと思いました。
非常に読みごたえのある作品・シリーズでした。
ところで、ノベルス版では出版されている“用語辞典”『ザレゴトディクショナル』は、文庫版では出る予定ないんでしょうか。
自分はここまで文庫版の方を買ってきたので、できれば判型揃えたいんですけれど……。