『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』

士郎正宗×黄瀬和哉×冲方丁×Production I.Gのコラボが創り出すSFアニメ。原作版、押井守監督版、神山健治監督版に続く、第四の『攻殻機動隊』プロジェクトの第1弾。
(原作:士郎正宗、総監督・キャラクターデザイン:黄瀬和哉、シリーズ構成・脚本:冲方丁、監督・絵コンテ:むらた雅彦、作画監督・サブキャラクターデザイン:西尾鉄也、アニメーション制作:Production I.G。)
各話およそ50分・全4部作予定の、この『攻殻機動隊ARISE』シリーズ。その最新作・『border:2 Ghost Whispers』が、いよいよ今月末、11月30日より劇場上映されます。
それを記念して、シリーズ第1話である本作・『border:1 Ghost Pain』が、11月17日にアニマックスで、11月20日にBS11で、11月30日にTOKYO MXで、それぞれ放送予定。
ということで、7月26日発売の『border:1 Ghost Pain』のBlu-rayを急いで開封(←こういうパターンが自分は多い……)、ようやく見てみました。以下、その感想です。


(残りの14行、ネタバレあり)

草薙素子:「何が現実なの?」「何が真実なの…?」

情報ネットワークとサイボーグ技術の発達した2027年の日本を舞台に、陸軍所属で全身義体のヒロインが、殺された元上官の名誉と自身の自由のため、事件の謎を追うお話。
というわけで、新たな『攻殻』シリーズは、主人公・草薙素子が、凶悪犯罪を阻止するための特殊部隊・通称“攻殻機動隊”で活躍するまでを描く物語のようです。
本シリーズでは、これまでのシリーズから声優陣が一新されているのですが。ビジュアル面でも、キャラクター、特に主人公のデザインが新しくなったのが目につきます。
Blu-ray封入のブックレットによれば、これは押井監督版『攻殻』をベースに年齢を下げた感じで、本作はそうしたまだ未熟な主人公が成長していく物語でもあるようです。
映像面では他に、今回の監督&作画監督が劇場版『NARUTO』のコンビということで(?)、『NARUTO』に出てきても全く違和感ないキャラも混ざってたりしてますが(笑)。
バトルシーンも、そんな『NARUTO』的な、奔放自在な生身の格闘と、『攻殻機動隊』本来の、銃器や義体を活かした戦闘との、ハイブリッドな感じで見応えがありました。
さてストーリーは、旧調査部の荒巻部長など、後の“攻殻機動隊”関係者とも出会いながら、主人公は事件に関わる自走地雷(少女型ロボット兵器)の出所を探るのですが。
武器密売ルートをたどったその先、様々な事件が交わる焦点には、国家ぐるみのスキャンダルと、自身のアイデンティティをめぐる驚きの事実が!

草薙素子:「見つけたわ」「私の 現実を」

“ファイア・スターター”と呼ばれる電脳ウィルスが、主人公、そして世界にもたらすものは、新たな争いの火種か、それとも――。
マルドゥック・スクランブル』などの冲方丁先生が、あの『攻殻機動隊』を書いて面白くならないはずがないわけで。深いテーマ性を予感させる、そんなシリーズ第1作。
今回はミステリー仕立てでしたが、今後も各話の監督ごとに個性を出した作品になるようで。アニメーション制作はもちろんProduction I.Gだし、続きが非常に楽しみです。
何はともあれ、百聞は一見にしかず。せっかくの機会ですので、本作未見の方は、今度のテレビ放送をどうぞお見逃しなく。